CES2025⑤期待の最新技術「ワイヤレス給電」

暮らしのQOLを上げるためのテック情報をご紹介する「QOL向上生活」。今回はCES2025で見てきた最新テクノロジーをご紹介します。

家電の困りはやっぱり電源がないと使えないこと、バッテリー搭載家電なら電池残量がなくなってしまうと使えなくなることですよね。今回ご紹介する技術は、そんな心配ご無用で、ケーブルレスで半永久的に光で発電できる技術です。しかも屋外の太陽光だけでなく、室内の蛍光灯の光で発電できて、しかもすでに実用化されている技術です。それではどうぞ!

蛍光灯の光でも発電できるPowerFoyle

CESのLVCCの会場のノースホールに出典されていたPowerFoyle。スウェーデンのストックホルムにある会社です。ここには最先端のワイヤレス給電の仕組みが展示されていました。単純にご説明すると最先端の太陽光発電でしょうか。

どんなものかというと、こんな感じのものです。太陽光パネルの家庭用みたいなイメージでしょうか。実はこれ、室内の蛍光灯の光で発電するそうで、給電用のバッテリーをデバイスに積めば、暗くても8時間くらいは動作するそうで、半永久的に使えるサステナブルな技術です。画像の通りいくつかのテクスチャデザインがあります。

裏には基板があって、これで蛍光灯の光を動力に変えています。↓の画像にあるように、テレビなどのリモコンの表面の一部や全体にこのシートを使って、既に実用化されています。

ちなみに、リモコンのような小電力だけでなく、ヘッドホンやスピーカーの天面にも使っていて、それなりの電力も使える様子。室内用だけではなく、屋外用で、サイクリング用のヘルメットに使ったりもできるみたいです。

最後に公式のYouTubeチャンネルから動画を引用しておきます。早く日本にも広まってほしいですね。

出典 https://youtu.be/E5N5azGNasY?si=vJBAYXhjBAhkNASM
出典 https://youtu.be/WUH0PpNiBbM?si=_aQYQnHdE6S4p0p9

無線技術を使った長距離ワイヤレス充電「Powercast」

短距離から長距離、マイクロワットからキロワットまで、無線技術(RFワイヤレス給電)を提供している会社です。

現地でもいくつかデモを見せてもらいました。

この拡大した写真の4つのデバイスが発電(RF発電)をする側の機器です。915MHz帯でエネルギーを送電し、展示会場にもありましたが、スマートカメラやスマートロックの動力も確保できるみたいです。これができるとスマートカメラのケーブル問題が解決できるので、個人的にももっと普及してほしい技術ですね。

  • RF電力:無線通信でトランスミッター(送信機)から、レシーバーチップが搭載されたデバイス側に送電。複数のデバイスを長距離充電できる。Wi-Fiのように、トランスミッターの送信範囲に入ると自動的に受電
  • Smartinductive:磁場を用いた電力伝送で、より距離を長く、多くの電力を供給できるシステム。電力だけでなくデータ通信も可能。
出典 https://www.powercastco.com/rf-power/

以下は公式サイトから引用した。SmartInductiveという技術を用いたワイヤレス給電で、40Wから600Wまでワイヤレスで送電する技術があるみたいです。現在世界で8億台以上のスマホ、4,000万個の組み込みアクセサリ、800万台の自動車に搭載されているようです。

出典 https://www.powercastco.com/smartinductive/

Qi規格の団体が発表した新しいキッチン給電「Ki」

最後のご紹介するのは、iPhoneユーザーの方はよくご存じの「Qi(チー)」の規格を管理している団体が、2024年に発表し、今年2025年から正式リリースされるキッチンのワイヤレス給電「Ki(キー)」です。

Qiは最新バージョンがv2.1で、特に車載の充電で、多少のずれがあっても、Qiの発電側のコイルが動いて合わせに来てくれる仕組みが展示されていました。

そんなコンソーシアムが満を持して発表したキッチン給電Kiは、コンセントに差し込む代わりに、家電製品をKiトランスミッターの上に置くだけで、磁気誘導によって電力が供給され、トースターやケトル、ミキサーなどの最大2.2kwの大容量の電気を、Qiと同様の技術で給電する仕組みです。

これ、すごいと思いませんか?要は、家電側にコイルが仕込まれてて、IHコンロの上に置くと電源がONになるんです。コンセントが不要になるので、漏電とか汚れたりとか片づけるときにすっきりシンプルで安全なんです。これは早く実用化されてほしい!と思ったら、2025年に正式リリースだそうです。

PHILIPSやSAMSUNGなどグローバル大手家電メーカー30社が参画しているそうです。キッチン側にこの仕組みが入ってないとどうにもならないですが、コンロの入れ替えでできるので、対応コンロや対応家電が増えてくると便利ですね。

英語ですが公式YouTubeから動画を拝借しておきます。

まとめ

いかがでしたか?電源コードがなくなるケーブルレス給電なんて夢のような話だと思っている方も多いと思いますが、最新技術はここまで来ています。なんとワクワクする技術でしょう。普段の暮らしが便利で快適になる=ストレスがなくなりQOLが上がる世の中はもうすぐそこまで来ています!

CES2025④未来の車は電動ホームに

テクノロジーを活用してQOLを上げていこう!というこのブログ。CESで見てきた面白い展示を紹介していこうと思います。

AIトランスフォーマー住宅「AC FUTURE」

今回のCESで一番度肝を抜かれたのがこのAC FUTURE(公式サイト https://acfuture.com/index.html)の展示でした。アメリカ初の運転可能なAIトランスフォーマー住宅で、運転できるモデルが展示されていました。HPを見てみると牽引モデルなど全3種あるようですが、展示されていたのは「AI-THd」という車輪付きモデルです。写真を見てもわかるように、車なのに超巨大ですww

このプロダクトの特徴は、以下になります。

  • 大容量ソーラー/水回収/大気水生成/太陽熱温水器/水のリサイクル/高効率気候制御/クラス最高の水ろ過システム
  • インターネット接続/AI制御/スマートホームコントロール
  • キッチン、冷蔵庫、洗濯機、シャワーブースを備える
  • リビングと寝室が拡張(拡張比はほぼX2サイズ(195平方フィートから400平方フィート、家具は収納式)
  • EVまたはディーゼル按針
  • 2026年12月に販売開始予定で予約中。$328,000(約4,660万円)

リビングと寝室が拡張??と思うかもしれませんが、実際拡張します。車体が横と後ろに伸びる感じ。中に人が何人かいるのがわかると思いますが、すんごい広いです。

これがコントロールパネルです。太陽光発電を積んでいて、水のろ過システムも積んでるので、オフグリッドに使えるそう。

メーカーのHPにCESで展示されていたものの動画があったので拝借して置いておきます。

https://qolkoujyokeikaku.com/wp-content/uploads/AC-Future-CES.mp4
出典 https://acfuture.com/ai-thd.html

もひとつ公式サイトのTOPからイメージ動画お借りします。

https://qolkoujyokeikaku.com/wp-content/uploads/AC-Future.mp4
出典 https://acfuture.com/

気になる価格は・・・?

全部で3つのモデルがあって、それぞれこれくらいの価格($1=¥150円で計算)です。

  • AI-THu THE HOME・・・$108,000(約1,620万円)
  • AI-THt THE TRAILER・・・$148,000(約2,220)
  • AI-THd THEDRIVABLE・・・$328,000(約4,920万円)

まとめ

いかがでしたか?僕は、キャンピングカーが進化して、車がネットワークにつながる家になると思ってましたが、その時代がいよいよ来たようです。実は去年の夏に、SHARPもコンセプトモデルで「LDK+」というモデルを出してるんですよね。リビングの拡張というコンセプトです。変な話、これがあれば不動産としての家は不要になるかもしれません。

出典 https://www.youtube.com/watch?v=LU6RIE1VCSk

CESで見かけた面白いものをいくつかご紹介していきます。日本ではお目にかかれない最先端テクノロジーが、いろんなジャンルで見れるCES。膨大なインプットでしたが、刺激的でワクワクします。

CES2025振り返り③Hisense&TCL

CES報告第3弾も家電メーカーです。それくらい、グローバルではアジアの家電メーカーが世界のスマートホームを牽引しています。それではどうぞ!

Hisense「AI Your Home」

はい、例にそぐわずHisenseさんも「AI」です。AIを搭載したConnectLifeプラットフォーム(アプリ)でスマート家電を接続・制御して、自動空調管理による省エネや室内環境の最適化がフォーカスされてました。

この展示を観れば一目瞭然ですね。エネマネ、省エネをAIが管理してくれます。そしてもう一つ、特徴的だったのはリサイクルマテリアルを使たESG訴求です。これは他の大手家電メーカーではあまり見られなかった訴求です。スマートホームは、CO2削減もできてエコな取り組みだというのがわかると思います。

わかりやすかったスマートホーム展示

HisenseのブースはAIで管理できるスマート家電がわかり易く展示されてました。キッチン、リビング、ワークスペース、ランドリーと4シーンありましたが、特にキッチンとランドリーがわかりやすかったです。

まずはスマート冷蔵庫。扉にディスプレイがついているのは他メーカーも当たり前で、コントロールパネルになっています。冷蔵庫の設定だけでなく、ヘルプページやマニュアルも確認できるのは便利。

https://qolkoujyokeikaku.com/wp-content/uploads/Hisenseスマートキッチン3.mp4

続いてはスマートコンロ。これはわかりやすいですね。

https://qolkoujyokeikaku.com/wp-content/uploads/Hisenseスマートキッチン.mp4

続いてスマートオーブン。これも動画を見ていただければどんな機能なのかわかると思います。

https://qolkoujyokeikaku.com/wp-content/uploads/Hisenseスマートキッチン2.mp4

そしてスマート洗濯機。これも動画を見るとわかりますが、洗濯に使った水の量や電力が見える化されています。

https://qolkoujyokeikaku.com/wp-content/uploads/Hisenseスマート洗濯機.mp4

AIで日常を再定義する

Hisenseはディスプレイやエンタメの展示コーナーもあり、そこには「Redefining Your Everyday Life with AI(毎日の暮らしをAIで再定義する)」と書いてありました。AIが暮らしにかかわることで、最適化=パーソナライズ化できるよよ言うメッセージです。

REGZAのブースでは、TVにAIボイスナビゲーターを搭載して、ユーザーとの会話を学習してレコメンドしてくれるかしこくなるTVが展示されていました。自分で全部やるのではなく、AIがサポートしてくれる。面倒なことや、自分の手が及ばないところから情報を引っ張ってきてくれたり、暮らしが助かりますね。

TCLのスマートホーム

TCLも大きなブースを構えていました。主にディスプレイに力を入れてましたが、インテリア性のあるテレビやスマートホーム関連もちゃんとあり、最先端が垣間見れました。下の写真はBANG&OLUFSENとのコラボモデルで、少し前に二子玉川蔦屋家電でも展示されてましたね。

以下のように、冷蔵庫や洗濯機がスマートホームとして展示されていました。

これだけではなく、特にフォーカスされていたのは「スマートロック」と「スマートカメラ」です。これは日本には来ていないので初めて見たプロダクトです。

スマートロックはここ数年で劇的に進化していますが、今回特徴的だったのは「静脈認証」がたくさんのメーカーで搭載されていたことです。以下の動画は静脈認証で解錠している様子です。

日本では後付けスマートロックの方が勢いがあり、NFCカードキーやタッチパネル、指紋認証が多いですが、静脈認証だと触れる必要がないのと、指紋だと冬場かさついたり、水仕事で手が荒れていたりすると使い物になりませんが、成長しても手が荒れていてもほぼ関係なく認証することができる技術のようです。

https://qolkoujyokeikaku.com/wp-content/uploads/TCL静脈認証.mp4

まとめ

一気に2メーカーのポイントを解説しましたが、3回にわたってお届けしたスマートホームを牽引するスマート家電、少しは体感いただけたでしょうか?

SUMSUNGはスマホやモニターがメイン、LGの家電は日本でも売られていますが、TV以外はスマートホームあまり関係ないし、Hisenseもテレビや洗濯機はあってもあまりスマート化されたものは日本に来ていませんし、TCLも決してメジャーではありませんが、中国、韓国の家電メーカーが日本を通り越してこれだけ世界でスマートホームを牽引しているんです。日本が取り残されているのが悔しいですね。

おまけ

Hisenseブースにて。ルービックキューバーのDylan Sadiq氏が実演でHisenseロゴ作ってました。

CES2025振り返り②LG「Affectionate Intelligence(愛情あふれる気遣いができるAI))」

前回はSUMSUNGのスマートホームについてレポートしてみました。今回は引き続きスマート家電系のレポートです。

LG「Life’s Good」

日本ではスマートテレビでおなじみのLG。LGも例年スマートホームの展示を行っています。彼らはスマートホームのことをすでにスマートホームとは言わず、「AI HOME」と謳っています。また、スマートホームに搭載するAIは、人工知能(Artificial Intelligence)ではなく、「Affectionate Intelligence(愛情あふれる気遣いができるAI))」と表現しており、人工的なAIではなく、人間的なAIによる住まいの快適化を目指しています。素敵なコンセプトですね。

AI搭載スマートホームプラットフォーム「ThinQ」

LGは独自の大規模言語モデル(LLM)「FURON」を開発し、ホームプラットフォーム「ThinQ」に統合しました。これにより、家電やIoTデバイスがより賢く連携する環境を構築しました。LGは2024年7月にオランダのスマートホーム企業AthomのHomeyというスマートホームハブをLGの家電の統合ハブにしています。

以下の画像にも書いてありますが、ThinQ ONから操作できるMatter規格対応のスマート家電やIoTデバイスの数は、2025年1月時点で200ブランド/5万製品を超えるそうです。

LGはこれを搭載した音声入力デバイスも開発しています。LG製品以外のスマート家電・IoTデバイスも一括管理可能で、家全体のエネルギー消費や家事の効率化を支援してくれたり、ユーザーの好みに応じたカスタマイズもできるようです。

これらでコントロールできる家電たちの上位モデルのLG SIGNATUREの展示も盛り上がってました。

洗濯機や冷蔵庫もそうですが、一番盛り上がってたのはキッチンですね。今回CESでとても感じたことは、キッチンが家電のくくりで当たり前に取り扱われていることでした。

一番人だかりができていたのがこのオーブン。IHの下にあるオーブン内にカメラがあって、料理の状態が開けずともわかるようになっています。また、レンジフード側にもカメラがあって、コンロを上部から映せるので、料理を作る動画なども撮れるようになっています。

LGのスマートホーム展示

SIGNATURE展示の他、盛り上がっていたのはスマートホーム展示です。家族が暮らす住まいの1日をストーリー仕立てで表現するデモがありました。外出すると自動で消灯してロボット掃除機が掃除を始めてくれたり、AIスピーカーが出かけるときに雨予報なら傘を持っていくように声をかけてくれたりします。これはわかり易いですよね。

https://qolkoujyokeikaku.com/wp-content/uploads/LG-AI-HOME.mp4

これとは別に、LGが目指すスマートホームの世界観を表現する展示がありました。ローンチ予定が決まっているわけではないのですが、AI搭載カメラが人の行動や表情を読み取ってアシストしてくれる機能です。

デスクに座ってパソコンを広げてタイピングしている様子を見て照明を調整してくれたり、室温管理してくれたり。以下は寝室でのデモですが、これも睡眠管理や起床時などのアシストをしてくれるデモでした。画像では見切れていますが、起床時にウォーターサーバーで水を入れるかの提案をしてくれたりします。まさに「愛情深い知性」を表現した展示だなと思いました。

まとめ

今回は第2弾としてLGの展示の紹介でした。全て自分でやらないと快適な環境が作れないアナログな家から、AIが家に入り込むだけで、僕たちの暮らしをアシストしてくれるようになり快適で豊かな暮らしが送れるようになるのは、体験したいものです。もっと日本のスマートホームもアップデートされてほしいですね。

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